あなたの町に、蔵はありますか? もしあるなら、一度よく見てみてください。
まず目を惹くのは「蔵飾り」と呼ばれる飾りです。
破風やひさし屋根を支える「腕木」に施された絵や彫り物は、実にユニークな作品揃い。白と黒のバランスが個性的だったり、豪華にナマコ壁を貼りめぐらせた蔵もあるでしょう。
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これは施主と左官職人のこだわりの表れです。
施主にとって蔵を建てることは、一世一代の大仕事。職人に満足のいく仕事をしてほしい。そこで十分な時間をお金を与えられ、職人は納得のいくまで腕を振るうことができました。
こんな風に建てられたから、蔵は、世界に二つとして同じものは存在しないのです。
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蔵のある家は集落のおよそ2〜3%で、金銭に余裕のある地主などに限られていました。その多くが穀物競として建てられたのは、輸送手段の限られた時代に、食糧を保管する必要があったからです。
2階には冠婚葬祭で使用する什器や季節の用具など非日常品を収納しました。
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今、蔵はどう扱われていでしょう。もう食糧を貯蔵しておく必要ありません。冠婚葬祭のために大量の什器を所有する必要もなくなりました。大方の家で、物置き代わりに使われ、蔵は無用の長物となりつつあります。
では壊してしまうかというと、若い世代にとってはそうでもありませんが、ある年齢以上の世代はためらいがあります。先祖から受け継いだものを簡単に壊していいのか、と。
蔵は家の象徴であり、歴史です。そして維持することで、所有者はこの国に美しい景観をもたらしてくれているのです。
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